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2016.10.30 (Sun)

「歌える人って…」

『歌える人ってずるいです』
思わず今日のレッスンで生徒さんが言った言葉です。
その生徒さんは、娘がイタリアへ行くため大学をやめたのと入れ替わりに
大学に編入した生徒さんです。
たまたまその生徒さんがイタリアで娘と出会い
「声はとっても良いんだけど、歌い方を知らないかわいそうな子がいるんで
みてやって欲しい」と連れてきた生徒さんです。
歌うことが大好きで、結構早くから声楽を習っているものの、
なにも教わっていないかのような歌を歌っていました。 

話を聞くと、「歌が好きなのだけれど、自分は歌えないから
歌える人の役に立とうと、イタリアへの留学は、語学留学でした。」
というのです。
とても良い声の持ち主で、一度目のレッスンで、劇的に声が変わるくらい
なにも教わっていないようでした。
それで、息の吸い方から、身体の使い方を一から教えてきました。
途中10ヶ月ほど、ミラノで行われた万博のコンパニオンとして
レッスンを中断することになりましたが、きちんと真面目に
レッスンを重ねてきました。
毎週1回、時には2回都内から通ってきてくれています。

以前から、歌は喋るようにと言ってきたのですが、
身体の使い方も安定してきたので、そろそろだなと思い、
具体的に教えたところ、
「歌える人ってずるいです。こんなに楽して歌っているんですか~」
というのです。
よく歌は楽に歌うといいますが、だからといって、
身体の力を抜いて歌っていいなどとは言っていないのです。
楽に歌うとは、使うところをしっかり使って喋るように歌うと、
下から上まで、苦しいということなく歌えるのです。
私は、彼女が歌っている最中に、思った通りの声を出してくれたことに、
伴奏を弾きながら、にんまりしてしまいました。
しっかりとした安定感のある声で、しかも高い声でも苦しくなることなく
歌えていて、とても感激してくれました。

これからもっともっと自分なりの歌が歌えるようになるので、楽しみです。
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